「黄金比」ということばを聞いたことはありますか?おいしい肉じゃがを作るためのベストな配合は,砂糖:みりん:しょう油=1:1:1だそうです。まさにこの比率が肉じゃがの味付けの黄金比と言えます。
しかし,もともと「黄金比」は,人間がもっとも美しいと感じる長さの比率という意味で使われたのがはじまりです。古代ギリシャの数学者エウドクソスが発見し,エジプトの数学者ユークリッドが定義しました。また,この黄金比を自然界にある法則として数式化を行ったのは,イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチです。そう,中学入試でも定番になりつつある「フィボナッチ数列」を発見した人として有名です。
さて,そのフィボナッチ数列とは…,
0,1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144 …
と続く数列です。この数列にどんな規則があるか分かりますか?同じ数ずつ増えているわけではないので等差数列でもないですし,1,2,3のように増えているわけではないので階差数列でもありません。
実は,初めの数字の0,1の和が,次の数字になっています。つまり,0+1=1なので1をその右にかきます。新たに書いた1とその1つ前の数1の和を考えるので,1+1=2,これを続けていき,1+2=3,2+3=5,3+5=8,5+8=13…という具合に数を並べています。これがフィボナッチ数列です。
この,フィボナッチ数列を正方形の1辺が1,1,2,3,5,8,13…となるように敷き詰めていくと,長方形が無限にできます。この正方形の中に,正方形を一辺とするおうぎ形を図のようにかくと…何かに似ていませんか。
そう,オウムガイの貝殻に似ていますね。この螺旋を黄金螺旋といい,ひまわりの種やまつぼっくりなどのかさの配列もこの黄金螺旋になっているのです。自然界に数多く存在しているため,この黄金螺旋が本能的に人間が美しいと感じてしまうのではないかと言われています。
この図の場合,長方形の縦と横の長さの比率が13:21(=1:1.618…),1けたの簡単な整数だと,約5:8です。これが,人間が最も美しいと感じる比率で,これを「黄金比」と呼んでいます。
この黄金比と呼ばれる比率が,約5:8(=1:1.618…)になっているものは,世の中に数多くあります。
・パルテノン神殿の縦と横の比率
・唐招提寺金堂の縦と横の比率
・パリの凱旋門の開口部の高さと全体の高さの比率
・ピラミッドの高さと底面の1辺の比率
・ミロのビーナスのへそからつま先と頭からつま先の比率
・モナ・リザの顔の横幅と顔の縦幅の比率
・葛飾北斎の「富嶽三十六景」の縦と横の比率(波の部分は黄金螺旋)
・クレジットカードの縦と横の比率
確かに美しいと感じるものが多いですね。特に有名な芸術作品には多く使用されていて,意図的に使っていた作者もいるようです。さらに,アップル社やペプシやGoogleのゴロも黄金比を取り入れて作られたと言われています。なかなか奥が深いですね。
では,最後にみなさんの身近な名刺の縦と横の長さを測ってみてください。縦の比率を1とするために,横の比率を,(実際の横の長さ)÷(実際の縦の長さ)で計算すると,1.618…に近い数字になっていませんか?実は,名刺も黄金比をもとにして作られているようです。
お取引先との名刺交換の際に,お互いに黄金比を目にするので,「美しいと感じる」=「プラスのイメージにつながる」というように,名刺のサイズが工夫をされているのかもしれませんね。
このブログを読んでくださった方と名刺交換をさせて頂くご縁がありますよう,ご連絡をお待ちしております。
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