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ひっそりと変わっていた教科書表記を知っていますか?

皆さんが学校で学習した歴史用語や出来事はまだ教科書に載っているでしょうか。

有名なところを挙げると「いい国(1192)つくろう鎌倉幕府」は今や「いい箱(1185)つくろう鎌倉幕府」という説もでています。実際に中学校の教科書(東京書籍)は、源頼朝が東日本の支配権を朝廷に認められた年(1183)や頼朝が守護・地頭を置くことを朝廷に認めさせた年(1185)を成立時期の説として紹介しています。かつての語呂合わせは意味として成り立っていたものの、1183年や1185年では、語呂として成立させるのにも研究が必要になりそうです。

この鎌倉幕府に関する変化が報じられていたのはなんと2008年(朝日新聞)。他にも、一時期「聖徳太子」が「厩戸王(うまやどのおう)」に、「鎖国」は「幕府の対外政策」に変わるともされていました。これが2017年のことです(日本経済新聞)。

そこで今回は、ひっそりと変わっていた教科書表記について、まとめてみようと思います。

変化といえば、2024(令和6)年度上期を目途に新紙幣の発行が開始されると公表されました。いわゆる最新のお札になるわけですが、日本最古の貨幣と言えば、何でしょうか。
かつて「和同開珎」と学習し覚えたという人も多いかもしれません。しかし現在の教科書では、「富本銭」とされています。

というのも1999年の奈良文化財研究所による飛鳥池遺跡(奈良県明日香村)の発掘で、これまでの史実を覆す発見がされました。日本で最初に国家によって鋳造された銅銭は富本銭であるという調査結果が示されたのです。この結果を受け、教科書表記も変更されました。

このように新たな事実がわかると、教科書の表記も変更されます。実際の例を他にも紹介すると、江戸時代の身分制度を表す表現としての「士農工商」は、現在の多くの中学教科書では使われていません。

かつて、武士、農民、職人、商人の順の上下関係を示す言葉として、「士農工商」を習ったという方も少なからずいるかもしれません。
しかし研究が進み、江戸身分がこの言葉で表現できるほど単純でなく、武士以外の身分は平等であったなどの見解に基づく形で、表記も変更されました。

江戸の身分制度といえば士農工商と、馴染み深い方もいるかもしれませんが、こちらの表現はなんと2000(平成12)年度から変更されていたそうです。ひっそりと変わっている表現はまだまだあります。

極めつけは「絵踏」。以前は「踏絵」でした。気づいていましたでしょうか。こちらはより正確な表現へと変わったようで、踏ませる行為を「絵踏(えぶみ)」、踏ませるものを「踏絵(ふみえ)」と区別して表記するようになったそうです。

パッとみただけでは気づきにくいですが、しっかりと意味をもって変更されております。
クイズ大会等に出場される時は要注意項目ですので、お気をつけください。

確かに、歴史の教科書は過去の出来事を記述しており、「歴史(かこ)は変えられない」のかもしれませんが、実際には新たな発見や解釈の見直しにより、上に記した以上に多くの「歴史に関する記述」が変更されています。

生徒・学生たちには、歴史の固定観念に阻まれることなく、探究心を広げ、新たな見方・考え方につなげるために教科書を活用してもらえたらと思います。

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