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大学入試 理科 出題ミス

エデュ・プラニングの理科課です。

5月下旬に令和5年鳥取大学の理科(物理基礎・物理)の入試で出題ミスが発表されました。私たちの業種だと、こういったニュースは自分たちにも大いにかかわりがありますので、気になって調べてしまいます。ミスの内容としては、問題文中で与えられた文字だけでは正解が導けない問題が出題されていたと発表されています。このミスを受けて、鳥取大学では物理基礎・物理を選択した受験生629人全員が出題ミスのあった問題箇所についてはいずれの解答も正解とみなされ、医学部、工学部、農学部の受験者のうち計41人が新たに合格者となりました。このように、入試のミスは非常に大きな事態を招いてしまうことになります。

この試験の制作がどのような体制で行われたかはわかりません。しかし、問題不成立が見過ごされてしまうという状況が一般的にどのような場合に起こりやすいかを考えることはできるかと思います。

ここですべてのパターンを挙げて検討するのは難しいですが、1つ典型的なケースを挙げてみます。

それは「問題内容のチェック者が、解きなおし時に作問者の解法や解説を参照していた」というパターンです。

作問者は問題作成時になにがしかの解法を想定し、そして自身の作問した問題は正しく解けると考えています。しかし、想定する解法で解くには設問に条件が足りない場合や、作問者が想定している反応や結果が実際には起こらないといった場合に問題不成立が発生します。このような問題の発生を発見するために、通常は複数の第三者の手によって解きなおしチェックを行います。複数人で設問の解きなおしを行えば、全員が同じように設問を誤解し、作問者と同じ解法を選ぶという確率はかなり低くなるからです。

しかし、この解きなおしの精度を下げてしまうのが、先に書いた「解きなおし時に作問者の解法や解説を参照する」という方法です。この方法は、作業がやりやすいというメリットがありますが、ある側面においては問題もあります。それはチェック者の思考が作問者の解法・解説に引きずられてしまうことです。

解きなおしによる確認は、はじめて作問者と違う思考方法の第三者が問題だけを見て解きなおしをおこなうことに意味があります。同じ第三者が確認しても、作問者の想定している解法や解説を目にしてしまうと、自然とその解き方ありきとなってしまい、問題だけを見ていれば気づけたことも気づき辛くなってしまいます。

もちろん出題ミスに通じる原因はこれ以外にも無数に考えられ、これはあくまで1つの例でしかありません。

ちなみにですが、6月26日にも、埼玉大学の物理学科の試験でも出題ミスがあったことが発表されました。こちらは合否には影響はなかったそうですが、なんだか国立大学の物理で続いていますね…。

今回のケースを他山の石として、私どもの作業手順にもなにか潜在的な問題はないか日々、見直してまいりたいと身が引き締まる思いです。

 

  • 出題ミスがあった問題

物理基礎・物理の大問Ⅱです。

入試問題はこちらのリンクからご覧いただけます。

https://www.admissions.adm.tottori-u.ac.jp/wp-tent/uploads/2023/04/R5_butsuri_mondai.pdf

公式のお知らせはこちらです。

https://www.tottori-u.ac.jp/news/post-279.html

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