一般的に入試というと,国語・算数(数学)・理科・社会,中学生以降であればここに英語が加わってきて,各教科の知識や理解度をはかるようなものを想像されるのではないでしょうか。一方で,中学受験においては,近年「適性検査」と呼ばれる入試を採用してきている中学校が増えてきています。「適性検査」とは具体的にどのような入試なのでしょうか。
令和7年度の都立中等教育学校・適性検査Ⅱの大問1では,小学生の太郎さんと花子さんが舞台道具を作る場面で,展開図の面積を求めます。計算力よりも,「何を求めるかを言葉や図で説明し,自分で式を立てて解説する」ことが重視されています。
このように適性検査では,自分で図や言葉を使って説明する論理的思考力や,日常生活で起こりうる事例を題材とし,算数的(数学的)思考によって課題を解決する課題解決能力を測定する問題が出されることが多いです。これらの問題は,単なる算数の知識を問うものに限らず,さまざまな内容が出題されています。
適性検査が出てきた背景に公立中高一貫校の人気の高まりがあります。公立中高一貫校では学校教育法により,私立中学校で出題されているようないわゆる一般的な入試を課すことはできません。これには,むやみに教育競争を過熱させないための配慮のためだそうです。そこで,試験の代わりとして「適性検査」が導入されることとなりました。内容もつるかめ算や旅人算のような特殊算を用いた発展的な内容はあまり扱わず,教科書から逸脱しない範囲で教科横断的な出題形式や,初見の資料を読み解く読解力をベースとした総合的な力が求められる試験を設けました。そこに,学習指導要領に論理的思考力,課題解決能力の育成について盛り込まれたこともあり,適性検査型のような問題を採用する学校が増えてきたというわけです。現に,中学受験だけでなく,高校入試や大学入試でも,問題文の長文化,思考力をはかるような問題の増加が窺えます。
適性検査というトレンドは,公立中高一貫校の人気という要因だけでなく,国の教育政策というマクロな視点からも裏付けられています。この流れは今後も継続,あるいは形を変えて発展していく可能性が高いでしょう。
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弊社では,適性検査に代表される思考力・表現力を問う問題の研究・分析を日々行っております。