9月12日は宇宙の日だそうです。
宇宙分野の国際協力を促進し、世界規模で宇宙や地球について考えることを目的に、1992年を国際宇宙年(ISY)とすることが国連で提唱されました。
宇宙の日は国によって異なりますが、日本では1992年9月12日に日本人宇宙飛行士として、毛利衛氏が初めて宇宙に飛び立ったことにちなんで、この日を宇宙の日とすることに決まったといいます。
そこで今回は宇宙に関する話題の中でも、少し前に大きな発見があったブラックホールについて、取り上げようと思います。
強大な重力によって、光さえも脱出することができない天体がブラックホールです。
小説や漫画にもよく出てきますし、もはや知らない人はいないくらい有名な天体ですが、ブラックホールはその性質によって、光を吸いこんでしまうため真っ黒で、人類は長い間その姿を見ることができませんでした。
20世紀初頭にアルバート・アインシュタインによる相対性理論が提唱され、ブラックホールが存在する可能性が示唆されてから、実際にその姿を観測することができたのは、2019年になってからでした。
ブラックホールは真っ黒にみえる天体なので、一般的に想像する丸い筒のような望遠鏡では、光を反射しない暗い天体の姿を見ることはできません。
では、どのように観測したのでしょうか。
使用したのは、電波望遠鏡です。
電波望遠鏡は、直接天体の姿を見るのではなく、衛星から発する電波を集めて出力するので、
光を反射しない暗い天体でもその周りの天体の発する電波を頼りに観測を可能にします。
しかし、ブラックホールを観測するには、電波望遠鏡1台では到底足りません。
そこで、世界中の電波望遠鏡を同期させ、地球規模の大きな望遠鏡を形成し、ブラックホールの撮影に挑んだのが、EHT(イベント・ホライズン・テレスコープ)・コラボレーションという国際プロジェクトです。
1年にわたる観測の結果、2019年4月にEHT・コラボレーションは、おとめ座銀河団の楕円銀河M87の中心にある超巨大ブラックホールの「影」の撮影に成功しました。その後、同様の技術と解析手法を用いて、2022年5月には、天の川銀河の中心に位置するブラックホール「いて座A*(エースター)」の画像化にも成功しました。
この発見により、さまざまな銀河の中心に存在すると仮定されるブラックホールの研究は、大きな手がかりを得たといえるでしょう。
また今年の6月にも、可視光観測プロジェクトによって得られた大規模なデータを解析することで、宇宙最大級の超巨大ブラックホールの集団が初めて発見されたと発表されており、108億年前の宇宙で11個の超巨大なブラックホールが一斉に輝く構造があったことがわかっています。
少し前にプラネタリウムに行ったときに、EHT・コラボレーションの話は耳にしていましたが、こうやって調べてみると、あまり詳しくない分野でも面白い発見が日々繰り返されていることがわかります。
日本だけでなく世界にもさまざまな記念日があるので、記念日にちなんで自分の興味があることを調べてみるのもいいかもしれませんね。