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ラーニングピラミッドについて

エデュ・プラニングの社会課です。

突然ですが,「ラーニングピラミッド」という言葉を聞いたことはありますか?
学校現場ではもちろんのこと,生徒向けに行われる講演会でも使われることがある,教育業界では頻出の用語です。

多くのサイトで「学習定着率を高める方法」などとして紹介されています。
しかし「何が根拠となっているのか」「数値は何に基づいているのか」というデータの根幹までは,あまり知られていません。
そんな中,実は一部で,「ラーニングピラミッドは間違っている」という主張もでているのです。

そこで今回は,ラーニングピラミッドとは何なのか,またその信憑性について,紹介していきます。

まずは一般的に知られているラーニングピラミッドについてまとめます。
簡単に説明するならば,学習方法と平均学習定着率の関係をピラミッド状の図で示したものです。
その名の通り「ラーニングピラミッド」という訳です。

例えば,授業でよくある形式の「講義」は5%の定着率。「読書」は10%とされており,図でいうならば三角形の面積が狭い上の方に位置します。
一方で,定着率が高いとされる,「他の人に教える(90%)」「自ら体験する(75%)」は三角形の下の方に示されており,割合(%)に応じて面積が大きくなるように配置されているのがこの図の特徴です。
視覚的にも伝わりやすいデータといえるでしょう。



ネット上では,授業におけるアクティブラーニングの効果を保証する根拠として用いられるケースが多々見受けられます。

教育業界において,あらゆる学習方法の「根拠データ」として用いられているこのピラミッドですが,実際はどこからきた言葉なのでしょうか。次は信憑性という観点で見てみます。

データの出典として,多くのサイトで紹介されているのが「アメリカ国立訓練研究所の研究」です。

しかし,ラーニングピラミッドの元とされるこちらの研究について,南山大学の土屋 耕治氏が論文の中で「ラーニングピラミッドは間違っている」と主張しています。
研究内容とラーニングピラミッドは別物であり,図や数値に関しても別々の文脈で使われたものが,いつしか合わさって現在のピラミッドを作り上げているというのです。

特に,ピラミッドの数値については,はっきりとした原典はなく,考えられるとすれば「“A good word for the Montessori method”(モンテッソーリ法の薦め)」という1913年の記事であるとしています。
実際に土屋氏の論文で,現在のラーニングピラミッドで用いられている数値の元ではないかとされる部分が訳されて紹介されていました。

「私たちは10聞いたうち2しか覚えない。私たちは10見たうち5を覚え,10触ったうち7を覚え,10行なったうち9を覚える。」
(ラーニングピラミッドの誤謬―モデルの変遷と “神話” の終焉へ向けて―土屋耕治 (南山大学人文学部心理人間学科) 2018.04.02)

多くのメディアで紹介されるが故に,無条件で信頼してしまいがちなラーニングピラミッド。
能動的な学びに繋げるための資料として用いられる一方で,講義や読書などの必要性を希薄化するリスクも伴う図でもあります。
こちらの図を用いる際には,根拠や危険性まで考慮する必要があるのかもしれません。

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