エデュ・プラニングの社会課です。
前回の社会課のブログでリード文について書きました。会話文については「ヒントが」と少し触れるにすぎなかったので、今回はこちらを深ぼりしてみようと思います。
共通テストのリード文に隠されたアルモノ
作問をされる方は、会話文の作問中に「今回は登場人物の名前何にしよう…。」と悩んだ経験はないでしょうか。問題があり、会話文があれば、そこには登場する人それぞれのストーリーや背景があります。
蒼:最近は、学校でも「(苗字)さん」と呼ぶところもあるよね。
陽葵:ジェンダーの観点もあるし、キラキラネームと呼ばれる名前もあるよ。
凪:私たちの名前が、2022年に生まれた子どもにつけられた上位3つの名前だけど、問題ではみないよね。
悩めば悩むほど一筆目が重くなる”人物名”ですが、データベースを遡り頻出名を調査しました。作問する機会があり、会話文の人物名に悩んでいるという方は、是非参考にしてみてください。
今回調査対象としたのは、日本史B・世界史B・地理B・現代社会・倫理・政治経済という6科目の、共通テスト過去3年分とセンター試験過去5年分の、合わせて8年分です。アルファベットの名前も多く使われていましたが、今回は姓名に絞ってまとめました。
早速ですが第3位は、8年分中2回登場。
「小林」「佐々木」「高木」「高橋」「藤田」「松山」、
さらに続いて、「イズミ」「カオル」「モリ」「ユキ」という面々です。この段階で多くの名前がランクインしており、出題された会話文の多さを物語っています。これまでの「過去問分析」のジャンルを調べてみると、「過去の出題傾向分析」や、少し変わったものだと「選択別正答率割合分析」などはありました。そういう意味でも今回は、「人物名の使用頻度分析」という新たなジャンルを開拓しているともいえるでしょう。
さて、続いて2位も発表いたします。全国では14番目に多いといわれる名前がはいりました。8年分中3回の登場で「山田」です。第3位とあわせても、苗字の方が多い傾向がみてとれます。そして、「木」「林」「森」「山」といった「木」に関連する名前が多いのも一つの傾向として考えられるでしょう。しかし人物名の使用頻度の傾向がわかったとしても、実際の問題が解けるようにはならないので、その点ご注意ください。
気になる第1位は、なんと2つが同率。日本人に多い苗字の上位2つが並ぶ形となりました。8年分中4回登場の「佐藤」、そして「鈴木」です。「佐藤」に関しては、2023年に2度登場しています。もしも執筆中に人物名に悩んだら、この2つの人名に縋るのもよいかもしれません。
順位は確定しましたが、ここに並べた名前の多くを問題に掲載したのは、ある1科目です。その科目は、世界史B。センター試験5年分では1人の人物すら登場しなかったにもかかわらず、共通テストに変わって以降、平均して14人が1回の問題で出てきます。2023年度入試ではなんと総勢20人。野球の試合ができるほどの人数です。共通テストにあわせて、学校の定期試験や模擬試験を作問するならば、世界史に会話文は必須ということでしょう。それと同時に作問者は、問題に使用する登場人物の名前のストックも、今後はたくさん必要になります。今現在すでに悩まれている方は、今回紹介したうちから使用してみてはいかがでしょうか。
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