新しい小学校の学習指導要領に替わってから、早6年が経ちました。
変更の年に小学1年生だった児童が、今年は中学1年生なわけです。
もちろん、小学3年生だった子は、今年中学3年生です。
そうなると、今年度高校受験に臨む中学3年生達が、入試本番でどれくらいの成績を修めることが出来るかが、現行の学習指導要領の成果を考えるうえで一つの手がかりになるかもしれません。
もちろん、高校入試の結果だけで小学校英語教育の成果を測ることはできません。
しかし、小学校で英語を学んだ子どもたちが中学校でどのように学び、どのような力を身につけていくのかを考えるうえで、一つの節目となる時期ではないでしょうか。
現行の学習指導要領が全面実施となった2020年度から、小学3・4年生で外国語活動、5・6年生で外国語が教科化されました。
この変更によって、小学校で英語を学ぶ時間は増え、中学校も含めた英語教育は大きく変わりました。
あるデータによると、現行の学習指導要領のもとで学んだ小学6年生の英語力には、一定の変化が見られます。
ただし、英語4技能の総合スコアは、2019年度から2021年度にかけて上昇した一方、2024年度には低下しており、単純に上昇傾向が続いているわけではありません。
もちろん、このデータだけで小学生全体の英語力や、学習指導要領の改訂による効果を判断することはできません。
それでも、読む・書く・聞く・話すという技能ごとの変化を確認することは、小学校英語教育の成果と課題を考えるうえで、一つの手がかりになるのではないでしょうか。
しかし一方で、課題も残されています。
その一つが、いわゆる「中1のギャップ」です。
小学校の高学年では、読む・書く活動も行うことになっています。
しかし、それが必ずしも中学校での英語学習に向けた十分な準備になっているとは言い切れません。
例えば、小学校では、多くの単語の中から正しいものを選んだり、単語を並べ替えて英文を作ったりする問題が中心になりがちです。
一方、中学校では、何も見ずに日本語から英単語を書いたり、日本語のみをもとに自分で英文を組み立てたり書いたりする力が求められます。
定期試験の際は、ただ書くだけではなく、限られた時間の中で、単語や英文を自力で正確に書くことが求められます。
つまり、単語を見て意味が分かることと、何も見ずに思い出して書けることには、大きな違いがあるのです。
小学校での学習経験が、中学校で求められる書く力をどこまで支えられているのか。
これは、小学校と中学校の英語教育の接続を考えるうえで、重要な課題の一つではないでしょうか。
さらに、中学校で学ぶ英単語の量は、小学校で学ぶ単語の量と比べて大幅に増えます。
現行の学習指導要領では、小学校で600~700語程度、中学校では小学校の内容に加えて新たに1,600~1,800語程度の単語を扱う、とされています。
単純に比較すると、中学校で扱う単語の量は、小学校段階の約2倍以上となります。
小学校で習った単語も含めると、2,200~2,500語程度を覚える必要があるということになります。
そのため、単語を覚えるだけでなく、必要な時に適宜自分で思い出し、書き、英文の中で使いこなす力も必要になります。
こうした変化に、小学校での学習経験だけで対応するのは簡単ではありません。
中学校に入学した時点で、英検などを通じて学校外でも英語学習を進めてきた生徒と、学校の授業を中心に学んできた生徒とでは、英語を書くことへの慣れに差が生じる場合があります。
すでに英語を書くことに慣れている生徒は新しい文法や表現の学習に進みやすい一方で、慣れていない生徒は、まず単語や英文を書く練習から始める必要があります。
同じ教室で同じ授業を受けていても、スタート地点が異なるわけです。
では、このギャップをどのように埋めていけばよいのでしょう。
小学校段階で、単語や英文を自分で書く経験をどれだけ積めるか。
中学校への接続を意識した指導や教材を、どのように充実させていくか。
今後の小学校英語教育に期待したいところです。
また、こうした学習者のニーズに対して、教材会社がどのような教材や学習支援を提供できるかも重要な課題だと思います。
小学校での学びを中学校での学習につなげ、子どもたちが無理なく次のステップへ進めるようにする。
そのために、学校と教材会社が果たせる役割は、まだまだ大きいのではないでしょうか。
https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/mext_00010.html