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科学の秋,ふしぎは身近にひそんでる

エデュ・プラニング理科課です。

 

毎年10月になると,世間がちょっとだけ“科学”にざわつきます。
テレビでは「ノーベル賞受賞!」の速報が流れ,新聞には難しそうな研究の話が並ぶ。
でもその裏で,もうひとつの賞がひっそりと,いや,にぎやかに発表されているのです。
それが――イグノーベル賞。

「量子回路」と「チーズソース」。
2025年の物理学賞が教えてくれたのは、科学の広がりと奥深さでした。

 

2025年のノーベル物理学賞は,量子力学の世界に新たな扉を開いた研究に贈られました。

受賞者たちは,電気回路において量子トンネル効果とエネルギーの量子化が実際に起こることを実証し,

量子コンピューターの基盤技術に大きな貢献を果たしました。

一方,イグノーベル物理学賞は,イタリア料理「カチョ・エ・ペペ」のチーズソースがダマになる理由を

物理的に解明した研究に授与されました。壮大な理論と身近な疑問

――その両方が,科学の世界では等しく価値を持つのです。

 

カチョ・エ・ペペは,パスタにチーズと黒こしょうを絡めるだけのシンプルな料理です。

しかし,料理人たちを悩ませてきたのが「チーズがダマになる」現象でした。

研究チームはこの現象に物理学の視点から挑み,温度,撹拌のタイミング,水分量などが

分子の凝集にどう影響するかを実験的に検証しました。

さらに,パスタのゆで汁に含まれるデンプンが乳化を助けることにも着目し,

なめらかなソースを作るための条件を導き出しました。

この研究は,料理人にとって実用的な知見をもたらすだけでなく,「日常のふしぎ」を科学で解き明かす楽しさを伝えてくれます。

イグノーベル賞は「人を笑わせ,そして考えさせる」研究に贈られる賞ですが,その根底には真剣な探究心があります。

授賞式では,研究者が「料理の失敗も,科学の出発点になる」と語り,会場の笑いと拍手を誘いました。

 

一方,ノーベル賞の受賞研究は,量子力学の理論が実際の電気回路で再現できることを示したものです。

量子の世界でしか起こらないとされていた現象が,手のひらサイズの装置でも観測可能であることを証明し,

量子技術の実用化に向けた大きな一歩となりました。

 

この2つの賞は,スケールもテーマもまったく異なります。

しかし,共通しているのは「なぜこうなるのか?」という問いに真剣に向き合っていることです。

ノーベル賞が“科学の頂点”を示すなら,イグノーベル賞は“科学の入り口”を照らしてくれる存在です。

 

教育の現場では,この対比が非常に有効です。子供たちに「科学は難しいことだけを扱うのではない」

「身近な疑問も立派な研究テーマになる」と伝えることで,探究心を育てることができます。

たとえば,「なぜ牛乳は温めると膜ができるの?」「なぜ雨の日は髪が広がるの?」といった問いも,

物理や化学の入り口になるのです。

 

科学は,壮大な理論を追い求めるだけでなく,日常のふしぎに目を向けることで,誰にでも開かれた世界になります。

2025年の物理学賞は,その両方を見せてくれました。

笑いと驚きに満ちた科学の祭典は,今年も私たちに「考える楽しさ」を届けてくれたのです。

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