エデュ・プラニングの社会課です。
入試や模試の出題には、社会情勢などの時事が反映される傾向があるといわれています。
2025年10月には、「日本初の女性首相誕生」というトピックスもありました。
こうした時事は、どのように出題に反映されるでしょうか。
近年では、2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」に影響されたとみられる出題が、
2025年1月、国語や化学の大学入学共通テストでみられました。
社会/地歴公民は特に時事の影響を反映しやすく、小問や選択肢レベルはもちろん、大問テーマにしやすい点も特徴です。
例えば、平成から令和への変わり目に天皇の譲位(当時の報道用語でいう生前退位)が話題になったあと、
院政、つまり天皇が自分の子に譲位して上皇として政治を動かす形態に関する入試問題が増加した印象がありました。
あるいはロシアのウクライナ侵攻を念頭に、ロシアに関する出題をした世界史や地理の先生もいらっしゃったでしょう。
こうしたテーマ史(一定のテーマに沿って構成される出題)では、教科書を模したリード文とは異なり、
分野横断・時代縦断の出題が容易になります。
教科書通りでない文章からでも知識をアウトプットできるか、受験生の真の学力を測るのに適しています。
冒頭の「日本初の女性首相誕生」というトピックスで、日本史の大問を構成する場合を考えてみましょう。
女性史の形をとることも、近代以降における政党政治史の形をとることもできます。
女性史であれば、卑弥呼を出して弥生時代、推古天皇や持統天皇で飛鳥時代、
藤原氏の娘で奈良〜平安時代、北条政子で鎌倉時代、日野富子で室町時代、明正天皇で江戸時代、
津田梅子や平塚らいてう・市川房枝らで明治以降など、リード文の展開パターンは多様に考えられます。
さらに、歴史の表舞台に出てこない人物でも、専門書を探して「◯◯の妻」にスポットを当てれば(NHKのドラマが好きそうですね)、
扱えない時代は皆無です。それらの人物についてリード文を書いたうえで、
文化や外交に関する下線部もバランスよく設ければ、出題内容は無限に広がります。
もちろん、小問そのもののネタにもなります。女性の為政者を4人(4選択肢)並べるほか、
「首相として“史上初”となった4人」といった切り口で、
原敬(初の本格的政党内閣)や細川護煕(初の非自民連立内閣)らを並べることもできそうです。
もっとも、入試問題の作成には通常半年以上を要します。
2025年10月に女性首相誕生のニュースをみても、2026年初めの入試に反映させることは困難です。
受験生の目に入るのはもう1年先になるでしょう。
オーソドックスにみえる入試問題も、実は何かの時事から着想されたものかもしれません。