「勉強ってつまらない」そう感じたことはありませんか?
でも、もし「やっていて気持ちいい」「ついやってしまう」「わくわくが止まらない」 そんな勉強があったとしたらどうでしょうか。
学びは本来、人の本能的な欲求のひとつです。
「知りたい」「できるようになりたい」という気持ちは、誰の中にもあるはず。
もし勉強が退屈に感じられるなら、それは教育に“デザイン”という視点が欠けているのかもしれません。
教える側の都合で知識や教養を押し付けるのではなく、子どもたちが自らの意志で吸収し、前進していける。
そんな学びの世界をつくるには、まずは「学ぶ側にはどう見えているか?」を想像することが大切です。
近年、タブレット端末やスマートフォンを使ったデジタルコンテンツや動画教材などが増え、学びの形は急速に多様化しました。
デジタル化によって、ページをめくるだけではなく、映像や音声で理解を深めたり、タップひとつで関連ページへジャンプできたり、紙では実現できなかった学びの流れや広がりを自由にデザインできるようになりました。
これは学びをデザインするための強力なツールとなるのではないでしょうか。
学びをデザインする上で参考になる考え方のひとつに、ゲーミフィケーションがあります。
これは、ゲーム以外の分野にゲームの要素を取り入れ、モチベーションを高めたり行動を促したりする手法のことです。
教育、マーケティング、企業研修、健康関連など、さまざまな分野で活用されていますが、目的は単に「ゲームのようにすること」ではなく、人を自然に動かす仕掛けをデザインすることにあります。
テレビゲームに夢中になって時間を忘れるという経験はありませんか?
ゲームには、人がつい続けたくなる、没入してしまう仕掛けがたくさん組み込まれているのです。
その仕掛けそのものが、ゲームという商品の価値でもあります。これを、ゲーム以外のものにも取り入れようということです。
実際に、日本国内でも数学教育にゲーミフィケーションを取り入れた学習サービスが広がっています。
問題を解くごとにポイントが貯まったり、AIが理解度を分析しながら最適な問題を出題したり、生徒同士で競い合ったりと、さまざまな工夫がされています。
たとえば計算問題なら、大問を「ステージ」として設定し、クリアごとに次へ進める仕組みや、正答スピードをスコア化して成長を見える化する方法、図形問題なら実際に動かしながら考えられる設計など、デジタルならではの学習体験が生まれています。
これまでの教育は、栄養があるからといって生の食材をそのまま出すようなものでした。
どんなに栄養価が高くても、硬かったり苦かったりしては食べられません。
しかし、デジタルという調理器具がそろった今、子どもたち一人ひとりの心に届くように料理することができるのです。
教育の本質は、人が本来持つ好奇心をどう引き出すかにあります。
子どもたちが「知りたい」「やってみたい」と思った瞬間、学びが自然に生まれます。
子どもたちが自ら学びたくなる世界、それこそが、これから私たちがつくる未来の教育ではないでしょうか。