エデュ・プラニングの社会課です。
ここ数年の共通テスト受験者数をみてみると、その数は年々減少しています。
志願者数に関しても、令和5年度には512,581人でしたが、令和7年度には495,171人になっています。
そもそも少子化によって受験にかかわる数値は全体的に減少していると思われがちですが、その中でも増加している数値があります。
文部科学省が公開した総合型選抜の募集人員(国公立)は、先の状況下においても、
令和5年度は7,668人でしたが、令和7年度には9,298人と増加しました。
また、入試全体における募集人員に対する総合型選抜の募集人員割合も同時に上昇しています。
さらに、この変化に対応するように、受験対策を行う側にも変化がみられます。
例えば学習塾といえば、筆記試験の点数を伸ばしてくれる場所というイメージがあったかもしれませんが、
昨今、総合型選抜専門の学習塾というのも多くみられるようになりました。
そこではその名の通り、総合型選抜に向けた受験対策が展開されるわけですが…。
そもそも総合型選抜とは、大学の「こんな学生が欲しい」という
アドミッション・ポリシーと受験生のマッチを測る要素が大きいことが特徴で、
志望理由や面接、小論文、プレゼンテーションなどを通じて、
その人の意欲や思考力、人間性がみられる入試制度です。
面接や小論文と聞いて、学力的要素は不要なのかと疑問も生まれますが、決してそうではありません。
評定平均や資格・検定試験等が必要とされるだけでなく、小論文等で出題されるテーマは、
「地域について」や「経済について」など社会的課題に関するものも多いため、
解答する際の前提として、学力が必要になります。
このように総合型選抜で求められることを整理すると、地理歴史・公民の重要性が浮かび上がります。
これらは現代社会の課題やその背景と強く結びつく内容が扱われる科目です。
社会科目は、単なる暗記科目ではなく、扱われる内容を理解し、自分の意見をもつ練習、あらゆる立場から物事をみる訓練にもなり得ます。
一方、現実的には、学校では定期テストがあることで、
そこに向けて勉強をしていくという側面もあり、これらの科目は学習において暗記に重きがおかれがちともいえます。
しかし、総合型選抜の拡大により、自ら問いを立て、他者と議論し、
自分の立場を言葉で表現するという力がより求められるならば、
生徒の普段の授業への向き合い方だけでなく、授業や参考書のあり方、出題する問題の形式も
変化していかなければならないのかもしれません。
受験制度の多様化により、「正解を早く出す力」だけでなく、
「正解のない問題に向き合う力」が重要になってきた昨今。
そんな今だからこそ、社会科目の学びが、将来の進路選択だけではなく、
受験という意味でも、あらゆる選択肢を広げる鍵になるのではないでしょうか。