先日、息子と妻を連れてショッピングモールの中にある大型書店に行ってきました。
子どもが生まれた直後は中々ゆっくりと店内を見ることができなかったのですが、
徐々に大判の図鑑や知育玩具に興味を持つようになったので、妻に息子を任せて久しぶりに書棚を見て回ることができました。
雑誌やビジネス書も見てまわったのですが、 頭の片隅には常に「模試・入試の題材に使える本がないだろうか」という考えがついて回ります。
ですから、足が自然と中高生向けの新書コーナーや文芸書コーナーに向かいます。
試験によく使われる著者の新刊が出ていると、とりあえず一度さっと目を通してみたりするのは、もはや職業病なのかもしれません。
「素材文」と呼ばれる国語の試験に使われる文章ですが、選定には様々な条件がからみます。
題材・文字数・問題の作りやすさ・著作権の問題や、説明文なら論旨が一貫しているか、
小説文なら心情表現が多彩か、などといった部分を見ながら選定を行っています。
そんななか、条件ではありませんが、大事にしなければならない視点が一つあると思っています。
それは「子どもに読ませたい文章かどうか」ということです。
過度に暴力的な表現や差別的な表現が入っていないか、ということも考えます。
しかし、それ以上に子どもたちが読んで学びがあるか、といったことを考えるようにしています。
ただ問題を作るための道具として素材文を扱うのではなく、
子どもたちがその文章を読んで考えを広げられるか、 情緒的に成長できるか、といった視点が必要であると考えています。
そんなわけで自分の趣味もそこそこに、読書感想文の課題図書になっている本や、
いろいろな出版社が子ども向けに紹介している本のリストを見て回り、今のトレンドを吸収してきました。
当然その中には素材文としては使えないものもある(というか、使えないものの方が多い)のですが、
やはり今現在紹介されているものを見ると、 今社会がどのような本を子どもに読んでほしいと思っているのかということがわかります。
素材文として使う文章の題材やテーマを考える際に、
私が個人的に読ませたいものを考えてしまうと、単なる趣味の押し付けになってしまいます。
(そもそも私個人が読ませたいと思う本は、基本的に素材文に向かないものが多いので……。)
やはり、社会的に関心の高まっている分野に目を向けて、興味を持てるような素材文を選定したいな、と思います。
国語の問題を解くにはは、文章中に書いてあることを論理的に読み取る力が必要です。
その能力をはかるための試験であると同時に、子どもたちの興味関心を広げたり、
新たな感情を芽生えさせたりする、そんな試験になるような素材文選びをしたいものです。