文部科学省が実施する全国学力・学習状況調査において、2025年度より理科のテストで動画を活用したCBT(Computer Based Testing)が導入されました。これは、単なる紙からコンピューターへという形式的な変更ではなく、新しい学びのスタイルへの転換点であるとも考えられます。
2022年(令和4年)の調査では、以下のような生徒の意識変化が報告されています。
その変化は、国語が+2.9%、算数(数学)が-4.4%、そして理科は-13.3%!と他の教科に比べても「理科離れ」が加速しています。
さらに、「理科は社会に出て役立つか」という問いに対して約47%の中学3年生が否定的または不明確な回答をしているという衝撃的な結果が示されました。
では、なぜ理科離れが加速しているのでしょうか。
生徒が理科を苦手と感じる要因として、以下の3点が挙げられます:
- イメージしづらい現象:目に見えない仕組みや抽象概念が中心
- 分野の広さと暗記量:物理・化学・生物・地学と、理解すべき内容が膨大
- 実験とテストの乖離:体験的学びが得点に結びつかず、達成感を得にくい
このような「体験と評価のズレ」が、理科への関心を削いでいる可能性があります。
冒頭でも紹介したように、2025年度の全国学力調査では、理科のテストでCBTが導入され、次のような動画を活用した理科問題が初登場しました。
- マグネシウムの燃焼実験(ドライアイス中)
- 小さな生物の観察
- 熱した空き缶を水に入れる実験
- ブタンガスとプロパンガスのちがいを確かめる実験
これらの動画問題は、単なる知識を問うのではなく、「観察」「仮説」「考察」を通じて、生徒の思考の過程や着眼点等をはかれるような設計となっています。
令和7年度の全国学力・学習状況調査問題(動画の出題)はこちらからご確認いただけます。
最近の教科書や教材にはQRコードがついていて、スマホさえあれば手軽に動画を見ることができます。動画による学習を通じて次のような効果が期待できると考えられます。
理科は、本来問いを立てて、検証を行いながら答えを導き出す教科です。私たちの作る問題も、これまでのように紙面だけから、動画を含めたものにより多様化していくと思います。「どうして?」「なるほど!」「理科っておもしろい。」と子供の時のワクワク感を取り戻してもらえるような教材作りを目指して、少しでも“理科離れ”を防ぐことができたらと思います。